分子生物学:in vivo単一分子解析によりCOOLAIR RNAの構造の多様性が判明
Nature 609, 7926 doi: 10.1038/s41586-022-05135-9
細胞のRNAは、選択的プロセシングと二次構造という点から見て不均一だが、この複雑さが機能的にどう重要なのかは、いまだによく分かっていない。シロイヌナズナ(Arabidopsis)の開花リプレッサー座位FLOWERING LOCUS C(FLC)では、選択的プロセシングを受けた一連のノンコーディングアンチセンス転写産物(COOLAIRと総称される)が作られる。温暖条件下と低温条件下では、COOLAIRの異なるアイソフォームが、FLCの転写結果に影響を及ぼす。今回我々は、COOLAIRの機能をさらに詳しく調べるために、RNA集団の平均ではなく、単一RNA分子のin vivoでの構造を決定するためのRNA構造プロファイリング法を開発した。これによって、COOLAIR転写産物の個々のアイソフォームが、異なるコンホメーション動態を持つ多数の構造をとることが明らかになった。温暖条件下での遠位がポリアデニル化された主要なCOOLAIR転写産物アイソフォームは主として3種類のコンホメーションをとり、低温曝露後にはそれらの比率やコンホメーションが変化する。選択的スプライシングを受け、低温によって強く上方制御された遠位のCOOLAIRアイソフォームは非常に構造の多様性が高く、近位がポリアデニル化されたCOOLAIRとは対照的である。COOLAIRの非常に可変性の高い構造要素は、FLCの転写開始部位に相補的であると特定された。この領域の構造を変化させるような変異はFLCの発現や開花時期を変化させ、これは、COOLAIR構造がFLCの転写に重要な調節機能を果たすこととよく符合する。これらの知見によって、ノンコーディングRNA転写産物のアイソフォームは機能的に意味のある多数の異なったコンホメーションをとり、これらのコンホメーションは外部の条件に応じて量や形が変化することが実証された。

