古生物学:アフリカ最古の恐竜から明らかになった恐竜分布の初期の抑制
Nature 609, 7926 doi: 10.1038/s41586-022-05133-x
中生代および新生代の陸上生態系を形作ることになる脊椎動物の系統は、三畳紀のパンゲア超大陸各地で出現した。この超大陸において、汎存性の「災害動物相」は、後期三畳紀(カーニアン期、約2億3500万年前)までに固有性の高い集合に取って代わられた。後期三畳紀のパンゲアには分散に対する地理的障壁がほとんど存在しなかったため、この固有性が確立された速さや様式を検証するのは困難である。これに代わるものとして、大陸の境界ではなく古緯度気候帯による分布の制御が提唱されている。恐竜類が分散を開始したのは固有性の高かったこの時代であり、そのため、恐竜類によってこの生物地理的パターンの時期と原動力を調べる機会がもたらされる。恐竜類が最初に古緯度に駆動された固有性の下で分散したとすれば、南米およびインドで発見されている化石群(最初期の恐竜を含む)と同様のものが、アフリカ中南部のカーニアン階の堆積物中にも存在するはずだという予測は、標本の数を増やすことで検証が可能だ。本論文では、ジンバブエ共和国で発見された、新たなカーニアン期の化石群について報告する。この化石群には、新属新種の竜脚形類Mbiresaurus raathiのほぼ完全な骨格をはじめとする、アフリカ最古の確実な恐竜類が含まれる。この化石群は、恐竜が発見されている他のカーニアン期の化石群と類似しており、これは、パンゲア南部の高緯度地域には同様の脊椎動物相が広がっていたことを示唆している。最初の恐竜類の分布は古緯度に関連した気候的障壁と相関しており、パンゲアの他地域への恐竜類の分散はその障壁が緩和されるまで遅延されたと考えられることから、現在まで続く陸上動物相の最初の構成は、気候による制御の影響を受けていたと示唆される。

