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神経科学:Fosアンサンブルは海馬における安定な空間地図の符号化と形成を行う

Nature 609, 7926 doi: 10.1038/s41586-022-05113-1

海馬では、場所細胞によって空間地図が形成されるのに対し、文脈記憶はエングラム(記憶痕跡)として符号化されると考えられている。エングラムは通常、極初期遺伝子Fosの発現により識別されるが、行動中の動物でFosの発現を促し、その発現により形成される神経活動パターンについてはほとんど分かっていない。そのため、Fosを発現する海馬ニューロンも空間地図を符号化しているのかどうか、また、Fosの発現が場所符号の特定の特徴と相関し、それらに影響を及ぼすのかどうかについては不明である。今回我々は、仮想現実内で海馬依存的な空間学習課題を実行中のマウスにおいて、Fosの誘導を監視しながら、カルシウム画像化法でCA1ニューロンの活動を測定した。その結果、Fosが強く誘導されたニューロンは、活動が強く相関した細胞アンサンブルを形成し、環境が均一にタイル状に並んだ信頼性のある場所受容野を有し、Fosが誘導されていない近くの細胞よりも数日にわたって安定した調整を示すことが分かった。遺伝子機能をまばらに喪失させる手法を用いて隣接細胞でFos機能を持つものと持たないものを比較したところ、Fos機能の破壊されたニューロンでは信頼性のある活動が少なく、空間選択性と1日を通した安定性が低下することが明らかになった。我々の結果は、Fos誘導細胞が、正確で安定した空間的に均一な地図を符号化することで海馬の場所符号に寄与し、Fos自体がこれらの場所符号の形成に重要な因果的役割を持つことを実証している。従って、Fosアンサンブルは、文脈記憶のエングラムと、認知地図の根底にある場所符号という、海馬機能の2つの主要な側面を結び付けていると考えられる。

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