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代謝:アポトーシス中の褐色脂肪細胞は細胞外イノシンを介してエネルギー消費を促進する

Nature 609, 7926 doi: 10.1038/s41586-022-05041-0

褐色脂肪組織(BAT)はエネルギーを消散させ、心代謝の健康状態を向上させる。肥満や老化によるBATの減少が、BAT中心の肥満症治療の主な障害となっているが、BATのアポトーシスについてはよく分かっていない。今回我々は、ノンターゲットメタボロミクス解析を行い、アポトーシス中の褐色脂肪細胞は、プリン代謝物が非常に多く含まれるという特異的なパターンの代謝物を放出していることを実証する。このアポトーシスセクレトームは、健康な脂肪細胞で熱産生プログラムの発現を亢進する。この作用はプリンであるイノシンにより仲介され、イノシンはサイクリックAMP依存性プロテインキナーゼAシグナル伝達経路を介して、褐色脂肪細胞でのエネルギー消費を誘発する。マウスにイノシンを投与すると、BAT依存性のエネルギー消費が増加し、白色脂肪組織の「褐色化」が誘導された。機構としては、ENT1(equilibrative nucleoside transporter 1;SLC29A1)がBATのイノシンレベルを調節しており、ENT1が減少すると細胞外のイノシンレベルが上昇して、その結果、熱産生性脂肪細胞の分化が亢進する。マウスにおけるENT1の薬理学的な阻害と、全体的・脂肪特異的な除去は、それぞれBAT活性の上昇と、食餌誘発性の肥満症の抑制につながった。ヒトの褐色脂肪細胞では、ENT1のノックダウンや阻害により、細胞外イノシンが増加して、熱産生能力が高まった。逆に、ヒト脂肪組織での高レベルのENT1は、熱産生マーカーであるUCP1の発現低下と相関していた。また、ヒトENT1の機能喪失変異Ile216Thrは、ボディーマス指数の有意な低下と関連しており、Thrバリアントを有する被験者では肥満症の確率が59%低かった。我々のデータは、イノシンがアポトーシス中に放出される代謝物であり、熱産生性脂肪を調節して肥満を抑制する「replace me(私と代わって)」シグナル伝達機能を持つことを明らかにしている。

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