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構造生物学:RASシグナル伝達のSHOC2による調整の構造基盤

Nature 609, 7926 doi: 10.1038/s41586-022-04838-3

RAS–RAF経路は、ヒトのがんで調節異常となっていることが最も多い経路の1つである。数十年にわたる研究にもかかわらず、キナーゼRAFの二量体化と活性化の基盤となる分子機構はまだ完全に解明されていない。最近の研究で、14-3-3タンパク質に結合した不活性なRAF単量体と活性なRAF二量体の構造から、14-3-3タンパク質が特定のホスホセリン残基を介してRAFの単量体と二量体の両方のコンホメーションを安定化する仕組みが明らかになっている。RAFが二量体化するのに先立って、プロテインホスファターゼ1の触媒サブユニット(PP1C)は、RAFのN末端のホスホセリン(NTpS)を脱リン酸化して14-3-3タンパク質による阻害を解除しなくてはならないが、単離したPP1Cには内在性の基質選択性が備わっていない。SHOC2は、PP1CとRASの両方に結合してRAF NTpSを脱リン酸化するのに不可欠な足場タンパク質として働くが、SHOC2の構造と存在が推定されるSHOC2–PP1C–RAS複合体の構成は不明である。今回我々は、SHOC2–PP1C–MRAS複合体の総合分解能3 Åでのクライオ電子顕微鏡構造を示し、三日月形のSHOC2がゆりかごのように働いてPP1CとMRASを接近させるという、3分子から構成される構造を明らかにした。これらの知見により、多数のRASアイソフォームが複合体形成にGTP依存性を示すことが実証され、RASアイソフォームの複合体形成に対する選択性が明らかになり、SHOC2の足場とRASが集合して働いてRAF NTpSに対するPP1Cの特異性をもたらす仕組みが判明した。これらのデータは、疾患に関連した変異が複合体の組み立てに影響することを示しており、RAFの活性化には2つのRAS分子が同時に必要なことを明らかにするとともに、この経路を標的とする新しい種類の阻害剤の発見につながる合理的な道筋を明確にしている。

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