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微生物学:細菌のレトロンはファージ防御性の3要素の毒素–抗毒素系をコードする

Nature 609, 7925 doi: 10.1038/s41586-022-05091-4

レトロンは原核生物の遺伝的レトロエレメントであり、マルチコピー一本鎖DNA(msDNA)を産生する逆転写酵素をコードしている。msDNAの生合成は数十年間研究されてきたが、レトロンの機能や生理学的役割はまだ明らかにされていない。今回我々は、ネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)のレトロンSen2が、アクセサリー毒素タンパク質であるSTM14_4640をコードしていることを明らかにし、このタンパク質をRcaTと改名した。RcaTは逆転写酵素–msDNA抗毒素複合体によって中和されており、msDNA生合成が摂動されると活性化する。この逆転写酵素はRcaTへの結合に必要であり、このmsDNAは抗毒素活性に必要である。RcaTを含むレトロンファミリーは非常に広く見られ、DNAを含む新しいタイプの3要素の毒素–抗毒素系を構成している。こうした毒素–抗毒素系の生理学的役割を理解するため、我々は、毒素–抗毒素系の誘発分子および阻害分子を特定するハイスループット逆遺伝学的手法であるTAC-TIC(toxin activation–inhibition conjugation)法を開発した。そして、レトロンSen2に対してTAC-TICを用いることで、ファージ由来の多数の誘発タンパク質と阻害タンパク質を特定した。ファージ関連の誘発分子は直接的にmsDNAを修飾し、その結果、RcaTを活性化して細菌増殖を抑制することが明らかになった。対照的に、プロファージタンパク質はRcaTを直接阻害することで、レトロンを回避する。これと一致して、レトロン毒素–抗毒素系は不稔感染の抗ファージ防御系として作用し、これは最近の諸報告とも合う。このように、RcaTレトロンは、3要素で構成されるDNA調節性の毒素–抗毒素系であり、この系は逆転写酵素–msDNA複合体を抗毒素として、さらにはファージタンパク質活性のセンサーとしても用いている。

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