Article
地球科学:ニーラゴンゴ火山の火山体崩壊が引き金となった前兆のない噴火
Nature 609, 7925 doi: 10.1038/s41586-022-05047-8
火山噴火の古典的な機構の大半には、圧力の増大と地表へのマグマの上昇が関与している。そうした過程は地球物理学的信号や地球化学的信号を生み出し、こうした信号は検出されて噴火の前兆として解釈される可能性がある。2021年5月22日、頂上のクレーター内部に永続的な溶岩湖がある開口火山のニーラゴンゴ山(コンゴ民主共和国)が、明らかな前兆なしに約6時間にわたる斜面噴火を起こし、その前ではなく後に地殻内へマグマが横移動したことで、この解釈が揺るがされた。今回我々は、この逆転した一連の出来事は火山体の崩壊によって始まった可能性が最も高く、それが破壊的な溶岩流を生成し、25 kmに及ぶ長大な岩脈貫入の引き金となったことを示す。この岩脈は南向きに進み、キブ湖だけでなく、ゴマ(コンゴ民主共和国)やギセニ(ルワンダ共和国)といった都市の下の極めて浅い(500 m以下)所へと広がった。この火山危機は、こうした噴火を支配する機構について新たな疑問を投げ掛けるとともに、人口密度の高い市街地域での噴出や、ガスに富むキブ湖からのマグマ水蒸気噴火や淡水湖沼噴出などの、より大きな災害をもたらす事象に直面する可能性を提起している。また、より一般的には、地表近くに大量のマグマが蓄積されている場合の、開口火山の監視、早期検知、危機管理が直面している問題も浮き彫りにしている。

