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気候科学:新生代の温暖期における海洋酸素濃度の上昇

Nature 609, 7925 doi: 10.1038/s41586-022-05017-0

溶存酸素(O2)は、海洋生態系の大半に不可欠であり、生物の呼吸を支えるとともに炭素と栄養塩の循環を促進している。酸素の測定結果は、地球温暖化の下で海洋の酸素欠乏帯(ODZ)が拡大していることを示していると解釈されている。しかし、モデルから得られる将来のODZの変化の描像は、短期的にも長期的にも明確でない。古気候の記録は、現代よりも暖かい時期に起こり得るODZの変化の幅を探るのに役立つ。今回我々は、有孔虫に結合した窒素(N)同位体を用いて、東部熱帯北太平洋の水柱の脱窒が中期中新世気候最適期(MMCO)と前期始新世気候最適期(EECO)に大きく減少したことを示す。脱窒は酸素濃度の低い海域に限定されることから、今回の結果は、これら2つの新生代の持続的な温暖期において、ODZは拡大したのではなく縮小したことを示している。ODZの縮小は、熱帯太平洋における湧昇が支える生物生産力の低下に起因した可能性があり、これによって海洋表層の酸素要求量が低下したと思われる。あるいは、南大洋による深海の循環の活性化によって、海洋の「生物学的炭素ポンプ」が弱まった可能性があり、これによって深海の酸素量が増えたとも考えられる。働いていた機構によって、ODZの収縮が温暖化とともに起こったのか、それとも数百年から数千年かけて起こったのかが決まったと思われる。このように、今回の新生代から得られた結果は必ずしも近い将来に当てはまるわけではないが、地球温暖化によっていずれはODZの縮小が起こる可能性があることを示唆している可能性もある。

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