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生化学:ポーキュパインを介したWntアシル化の機構と阻害
Nature 607, 7920 doi: 10.1038/s41586-022-04952-2
Wntシグナル伝達は胚発生と成体組織恒常性の調節に極めて重要であり、Wntシグナル伝達の異常はがんに関連していることが多い。Wntシグナル伝達には、小胞体に常在する膜結合型O-アシルトランスフェラーゼのポーキュパイン(PORCN)によるヘアピン2モチーフのパルミトレオイル化(palmitoleoylation)が必要である。この修飾は、Wntが受容体であるFrizzledに結合してシグナル伝達が開始されるのに不可欠である。今回我々は、ヒトPORCNの4種類のクライオ電子顕微鏡構造を明らかにした。それらは、パルミトレオイル補酵素A(パルミトレオイルCoA)基質との複合体、PORCNの阻害剤で現在抗がん剤として臨床試験中のLGK974との複合体、LGK974およびWNT3Aヘアピン2(WNT3Ap)との複合体、合成されたパルミトレオイル化WNT3Ap類似体との複合体である。これらの構造から、Wntのリガンド全てでよく保存されているWNT3Aのヘアピン2は内腔側からPORCNの内部に入り込み、パルミトレオイルCoAは細胞質ゾル側からPORCNに近付くことが判明した。触媒として働くヒスチジンが、Wntヘアピン2上の標的であるセリンへの不飽和パルミトレオイル基の転移を引き起こし、これは2つの基質が近接していることによって促進される。阻害剤が結合した構造から、LGK974がパルミトレオイルCoAの結合部位を占拠するために、反応が妨げられることが分かった。これらの知見からWntアシル化の機構が明らかになり、がん治療のためのPORCN阻害剤の開発が進むだろう。

