Article
量子情報:ベルの定理によって認証される実験的量子鍵配送
Nature 607, 7920 doi: 10.1038/s41586-022-04941-5
暗号鍵交換プロトコルは従来、素因数分解の困難性などの計算予想に依拠して、盗聴攻撃に対する安全性を提供している。注目すべきことに、Bennett–Brassardスキームなどの量子鍵配送プロトコルによって、そうした攻撃に対する情報理論的な安全性が得られ、これは古典的な方法では到達できない、はるかに強力な形の安全性である。しかし、これまでに実現された量子プロトコルは、多くの実験において示されているように、実装された量子状態や量子測定とそれらの理論モデルの間の不一致を利用した新種の攻撃にさらされている。今回我々は、エンタングルメントを用いてベルの定理により敵対者の情報を制限するEkertの先駆的な提唱に従って、こうした脆弱性の影響を受けない完全な量子鍵配送プロトコルを実験的に実現したことを示す。我々は、理論の進展と、2つの捕捉イオンキュービット間にエンタングルメントを生成する改良された光ファイバーリンクを組み合わせることによって、8時間の実行時間中に、150万のベル対から、安全性がデバイスに依存しない(測定装置無依存の)9万5628の鍵ビットを得た。測定結果に関する情報には、盗聴者からのアクセスを確実に阻止する措置を取った。これらの測定は、空間的な分離なしで行われた。今回の結果は、一般的な仮定の下で安全性を証明できる暗号が実世界のデバイスを使って可能であることを示しており、測定装置無依存の原理に基づく量子情報のさらなる応用に道を開く。

