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微生物学:腸の病原性共生細菌の宿主内進化によって肝臓への移行が促進される

Nature 607, 7919 doi: 10.1038/s41586-022-04949-x

腸の障壁を越えて移行(トランスロケーション)する能力を持つ腸の共生細菌は、さまざまな免疫性疾患の発症を引き起こすことがある。しかし、このようなバクテリアルトランスロケーション(BT)を決定付ける重要な要因は分かっていない。最近の研究から、腸の微生物相に含まれる細菌株は、宿主の一生にわたって適応および進化できることが明らかになり、このことから、各共生細菌自体の経時的変化が、細菌による炎症性疾患誘発の傾向に影響を及ぼす可能性が浮上している。今回我々は、腸のモデル病原性共生細菌Enterococcus gallinarumの宿主内進化によって、BTと炎症の開始が促進されることを示す。in vivoでの実験的進化と比較ゲノミクスを組み合わせて用いることで、E. gallinarumが腸内で管腔ニッチあるいは粘膜ニッチのどちらかへの定着に適応した別々の系統に分岐することが分かった。粘膜に適応したE. gallinarumの株は、祖先株や管腔に適応した株と比較して、免疫系による検出や排除を回避し、腸間膜リンパ節や肝臓への移行およびそれらの部位での生存の増加を示し、腸や肝臓での炎症の増強を誘導する。機構的には、細菌の挙動におけるこれらの変化は、E. gallinarumの特定の調節遺伝子における非同義変異や挿入欠失(indel)、細菌遺伝子の発現プログラムの変化、細胞壁構造のリモデリングに関連している。また、ラクトバチルス属細菌のLactobacillus reuteriも、この種を単独で定着させる宿主内進化モデルで、分岐進化と免疫回避の増強という広く類似したパターンを示した。まとめるとこれらの研究は、宿主内進化が共生細菌の病原性の重要な調節因子であり、微生物相による疾患の発症と進行を確率論的にする固有の原因であることを明らかにしている。

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