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神経科学:ヒト海馬の未成熟ニューロンの生涯にわたる分子的全体像

Nature 607, 7919 doi: 10.1038/s41586-022-04912-w

成体海馬の神経発生で生じる未成熟な歯状回顆粒細胞(imGC)は、齧歯類において可塑性や独特な脳機能に寄与しており、ヒトの複数の神経障害では調節不全に陥っていることが知られている。成人の海馬のimGCの分子的特徴についてはほとんど知られておらず、imGCの存在を疑う見解すらある。今回我々は、機械学習に基づく有効な解析法に支援された単一核RNA塩基配列解読を行い、ヒト海馬において、imGCの存在を明らかにするとともに、それらの数を生涯の異なる段階において定量化した。その結果、ヒトimGCの生涯にわたって共通した分子的特徴が明らかになり、細胞の機能性、ニッチ相互作用、疾患との関連性を示唆する、マウスのものとは異なる、ヒトimGCの年齢依存的な転写動態が観察された。また、アルツハイマー病では、imGCの数が減少しており、遺伝子発現も変化していることが分かった。さらに、成人海馬の神経発生能力が、歯状回顆粒細胞に向けて運命指定された増殖性神経前駆細胞のまれな存在、および外科的切除標本の培養によって実証された。まとめると我々の知見は、成人の海馬には、低頻度のde novo生成と遅延した成熟を介して相当数のimGCが存在することを示唆しており、今回の研究によって、imGCの生涯にわたる分子的特徴、ならびにアルツハイマー病での分子的特徴が明らかになった。

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