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ナノテクノロジー:DNA折り紙の回転ラチェットモーター
Nature 607, 7919 doi: 10.1038/s41586-022-04910-y
分子機構の運動に方向性を付与するためには、そうした微小スケールや周囲温度の溶液において遍在する無秩序な熱的力を克服しなければならない。エネルギー供給のない平衡状態では、熱力学の法則を破らずに方向性運動を持続することはできない。熱力学的平衡から離れた条件下なら、反転対称性の破れた拡散機構であるブラウン・ラチェットの枠組み内で方向性運動が実現される可能性がある。ラチェッティングは、例えばF1F0-ATPアーゼなど、多くの天然の生物学的モーターの機能を支えていると考えられており、マイクロスケールの人工系(例えば、我々の知る限り、初の例が参考文献3に記載されている)において、また、有機化学合成によって作られた人工分子モーターにおいても、実験的に実証されている。DNAナノテクノロジーは、枢軸、蝶番、クランクスライダー、回転系など、さまざまなナノスケール機構をもたらしており、そうした機構は、例えば、鎖置換反応や、pH、イオン強度、温度、外部場などの環境パラメーターの変化、機構自体の運動と天然のモータータンパク質の運動の結合に誘発されて、さまざまな配置をとり得る。我々は、こうした過去の研究や、低レイノルズ数ダイナミクスと固有の確率論的性質の検討によって、DNA折り紙から構築したナノスケール回転モーターを開発した。このモーターは、ラチェッティングによって駆動され、その力学性能は、F1F0-ATPアーゼなどの生物学的モーターに匹敵する。

