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細胞生物学:がんの転移ではミトコンドリアRNAの修飾が代謝の可塑性を形作る

Nature 607, 7919 doi: 10.1038/s41586-022-04898-5

悪性度の高い転移性のがんでは代謝の可塑性が高まっているが、この現象の基盤となる正確な仕組みはいまだに不明である。今回我々は、NOP2/Sun RNAメチルトランスフェラーゼ3(NSUN3)に依存する2種類のRNA修飾、つまり5-メチルシトシン(m5C)とその誘導体である5-ホルミルシトシン(f5C)が、ミトコンドリアmRNAの翻訳を促進して転移の原動力となる仕組みを明らかにした。ミトコンドリアにコードされている酸化的リン酸化複合体サブユニットの翻訳は、ミトコンドリアtRNAMetの34位でのm5Cの形成に依存している。m5Cを欠くヒト口腔がん細胞では、解糖のレベルが上昇しており、ミトコンドリアの機能に変化が生じるが、細胞の生存能やin vivoでの原発腫瘍の増殖には影響がない。だが、ミトコンドリアのm5Cが欠乏した腫瘍は効率よく転移できないので、代謝可塑性が著しく損なわれていることが分かる。我々は、CD36依存性で分裂せず、転移を開始する腫瘍細胞が、浸潤や播種を活性化するのにミトコンドリアのm5Cを必要とすることを見いだした。また、頭頸部がんの患者で見られる、ミトコンドリアで促進される遺伝子シグネチャーは、転移や病勢進行を予測可能である。さらに、このような腫瘍細胞の転移を可能にする代謝切り替えは、in vivoでのミトコンドリアmRNA翻訳阻害によって薬理学的標的となることが確かめられた。まとめるとこれらの結果から、ミトコンドリアRNAの部位特異的な修飾が、がんの転移と闘うための治療標的になり得ることが明らかになった。

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