神経科学:動作の抑制から明らかになった線条体回路を介した拮抗性の並行制御
Nature 607, 7919 doi: 10.1038/s41586-022-04894-9
大脳基底核の直接経路および間接経路は、それぞれ動作を促進および抑制すると古くから考えられてきた。しかし、線条体の直接的および間接的な中型有棘ニューロン(dMSNおよびiMSN)の同時活性化が観察されており、この見解に異議が唱えられている。今回我々は、一連の自発的動作と手掛かりに基づく動作を必要とし、特に一定時間持続する動的動作の抑制が重要となる、時間間隔分類課題を実行中のマウスで、これらの回路の解析を行った。その結果、運動に伴って、感覚運動に関わる背外側線条体(DLS)のiMSNとdMSNは同時に活動したものの、光ファイバー観測と光標識電気生理記録からは、動作抑制期間中にこれら2つの経路が機能上拮抗することを示すシグネチャーが明らかになった。注目すべきことに、光遺伝学的抑制では、DLS回路の大部分が、動作の促進ではなく抑制に関わっていることが示された。具体的には、一方の半球のiMSNは、反対側の魅惑動作の抑制に動的に関わっていた。我々は、こうした領域特異的な回路機能がどのように生じるかを理解するため、行動、神経活動、光遺伝学的抑制の重要な特徴を再現できる計算論的強化学習モデルを構築した。このモデルは、DLS外の並行線条体回路が動作を促進する機能を学習し、動作に対する衝動を生み出すと予測した。これと一致して、光遺伝学的な抑制実験から、連合性の背内側線条体のdMSNが、DLSのdMSNとは対照的に、反対側の動作を促進することが明らかになった。これらのデータは、複数の回路特異的および領域特異的な基底核過程の間の拮抗する相互作用が、行動制御にどのようにつながり得るかを明らかにするとともに、感覚運動性の間接経路が魅惑動作の先回り抑制に重要な役割を持つことを立証している。

