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コロナウイルス:SARS-CoV-2 mRNA追加接種後の記憶B細胞の能力と中和範囲の増加

Nature 607, 7917 doi: 10.1038/s41586-022-04778-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株は、多くのワクチン接種者や感染の回復期の人々に感染した。mRNAワクチンを3回接種した人では、感染に対する防御は低下していたものの、感染によるより深刻な結果からは非常に良く保護されていた。今回我々は、mRNAワクチン接種を3回受けた人の縦断コホートにおいて、記憶B細胞レパートリーを調べた。その結果、3回目接種後には、受容体結合ドメイン(RBD)特異的記憶B細胞の増加と進化が起こることが分かった。この増加は、2回目接種後に存在した記憶B細胞クローンの拡大に加え、新しいクローンの出現によるものである。これらの細胞がコードしている抗体は、2回目接種後に得られた抗体と比較して、効力と中和範囲に有意な増加が見られた。重要なことに、効力の増強は、記憶細胞の新たに生じたクローンの間で特に顕著であり、これはRBDのより保存された領域を標的とする点で持続クローンとは異なっていた。全体的には、mRNAワクチンの3回目接種後に解析した記憶区画内の中和抗体の50%以上が、オミクロン変異株を中和した。従って、mRNAワクチンを3回接種した人は、オミクロン株のような多様化した変異株に対しても迅速に応答し、除去可能な抗体を産生できる多様な記憶B細胞レパートリーを持っている。これらのデータは、変異株を特異的に防御するよう設計されていないワクチンの3回目の接種が、変異株の誘導する重症疾患に有効である理由の説明に役立つ。

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