Article

神経科学:クローン増殖したCD8 T細胞が筋萎縮性側索硬化症4型を特徴付ける

Nature 606, 7916 doi: 10.1038/s41586-022-04844-5

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンと随意筋制御が障害される不均一な神経変性疾患である。ALSの不均一性には、発症年齢、進行速度、症状が発現する解剖学的部位が含まれる。この疾患を引き起こす変異は特定の遺伝子に見いだされており、そうした変異によってALSの異なるサブタイプが定義付けられている。いくつかのALS関連遺伝子が免疫機能に影響を及ぼすことが示されているが、ALSの不均一性が免疫の特定の特徴で説明できるかどうかはよく分かっていない。筋萎縮性側索硬化症4型(ALS4)は、若年での発症と進行の遅さを特徴とする。ALS4の患者では、30代になるまでに運動が困難になり、その大半が50代までに歩行に補助装置を必要とするようになる。ALS4は、セナタキシン遺伝子(SETX)の変異によって引き起こされる。今回我々は、ALS4の原因となるL389S変異を持つSetxノックインマウスを用いて、このマウスの中枢神経系および血液で見られる、クローン増殖して最終分化したエフェクター記憶(TEMRA)CD8 T細胞からなる免疫学的シグネチャーについて報告する。ノックインマウスにおける抗原特異的CD8 T細胞の頻度の増加は、運動ニューロン疾患の進行と酷似しており、グリオーマ(神経膠腫)に対する免疫と相関していた。さらに、骨髄移植実験から、免疫系がALS4の神経変性において重要な役割を担っていることが示された。ALS4患者では、クローン増殖したTEMRA CD8 T細胞が末梢血中を循環していることも分かった。我々の結果は、ALS4における抗原特異的CD8 T細胞応答の証拠を示すものであり、これは、疾患機序の解明に役立つとともに、疾患状態の有望なバイオマーカーとして使える可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度