構造生物学:ヌクレオソームに結合したヒトクロマチンリモデリングPBAF複合体の構造
Nature 605, 7908 doi: 10.1038/s41586-022-04658-5
DNAはヒストン八量体に巻き付いてクロマチンの反復単位であるヌクレオソームを形成し、これが遺伝情報への接近を妨げる障壁となっている。Snf2様クロマチンリモデリング因子は、ATPの結合と加水分解のエネルギーをヌクレオソームの再配置と再構築に結び付けて、クロマチンを基盤にしたさまざまな処理過程に極めて重要な役割を果たしている。今回我々は、12個のサブユニットからなるヒトクロマチンリモデリングPBAF(polybromo-associated BRG1-associated factor)複合体について、ヌクレオソームに結合した状態のクライオ電子顕微鏡構造を明らかにした。モーターサブユニットであるSMARCA4がヌクレオソームを活性なコンホメーションに捉えており、これによって、疾患に関連する多数の変異が、クロマチンリモデリング活性に不可欠な境界面に集まっていることが明らかになった。SMARCA4は、SnAc(Snf2 ATP coupling)ドメインの3つのアルギニン残基をアンカーとして、ヌクレオソームのH2A–H2Bの酸性ポケットを認識する。PBAFは、注目すべき機能的モジュール性を示し、補助的サブユニットの大半は入り混じって3つの丸いローブ状のサブモジュールを作り、これらがヌクレオソームの認識を行う。PBAF特異的な補助的サブユニットであるARID2はDNA結合ローブ組み立ての構造的な核となり、PBRM1、PHF10、BRD7はヒストン尾部の結合に関わるローブにまとまって取り込まれる。これらの知見を総合することにより、PBAFによるヌクレオソーム認識の仕組みについての手掛かりと、SMARCA4が関連するヒトの疾患を理解するための構造基盤が得られた。

