材料科学:単一材料マイクロ構造における自己調節型の非相反的運動
Nature 605, 7908 doi: 10.1038/s41586-022-04561-z
生きた繊毛器官は、複雑な屈曲運動やねじれ運動の旋回するストロークと、別の逆向きの円弧運動を組み合わせることによって、わずかな動きや勢いの良い移動、方向の調節を行っている。そうしたダイナミクスを模倣する取り組みは、合成による多材料設計に頼っているが、1つの構造で任意の運動やさまざまな挙動をプログラミングすることの限界に直面している。今回我々は、単一材料系において、自己調節を通して、多様かつ複雑で非相反的なストローク運動様の軌跡を生じさせる方法を示す。構造軸に対してメソゲンが斜めに並んだ光応答性液晶エラストマーからなるマイクロポストが静的光源にさらされると、光によって秩序無秩序転移フロントが進行し始め、構造が過渡的に変化して、発展する複雑なバイモルフとなり、これが、複数レベルの光学的・化学的・機械的フィードバックを経てねじれたり屈曲したりして、動的な「ダンス」が発展する。我々の理論モデルによって捉えられたように、進行フロントは分子軸、幾何軸、照射軸を互いに対して連続的に再配向させ、一連のねじれ運動、屈曲運動、嫌光性運動、屈光性運動で構成される経路を生じさせている。このモデルから指針を得て、我々は、照射角、光強度、分子の異方性、マイクロ構造の形状、温度、照射間隔、照射時間などのパラメーターを調節することで、さまざまな軌跡を創り出した。さらに我々は、この光学的・化学的・機械的な自己調節が、つながったマイクロ構造の複雑な運動だけでなく、光媒介ポスト間通信を通して密集マイクロ構造アレイにおいて自己組織化変形パターンを創出する基礎としての役割を果たす仕組みを示す。今回の結果は、ソフトロボティクス、生物医学的デバイス、エネルギー変換材料などの分野における自律的多モードアクチュエーターや、自己調節系の基礎的理解に幅広い影響を及ぼす。

