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ゲノミクス:アルツハイマー病の単一ニューロンにおける体細胞性のゲノム変化

Nature 604, 7907 doi: 10.1038/s41586-022-04640-1

アルツハイマー病での認知症は神経変性と並行して進行するが、ニューロンの機能障害や細胞死の原因となる特定の事象については、まだほとんど分かっていない。正常な老化の際には、ニューロンは分裂細胞と同等の速度で徐々に体細胞変異を蓄積していくことから、遺伝的因子や環境への曝露、疾患状態がこの蓄積に影響を及ぼしている可能性が示唆される。今回我々は、アルツハイマー病患者と神経学的に正常な対照者の前頭前野と海馬から採取した319個のニューロンの、単一細胞全ゲノム塩基配列解読データを解析した。その結果、アルツハイマー病患者では体細胞DNAの変化が増加しており、独特な分子的パターンが見られることが明らかになった。正常ニューロンでは、主に加齢に関連したパターン(シグネチャーA)で変異が蓄積され、これは正常細胞やがん細胞で以前に報告された「時計様」変異シグネチャーに非常に類似している。一方、アルツハイマー病に冒されたニューロンでは、付加的なDNA変化が独特な過程(シグネチャーC)により促進され、このシグネチャーはC>Aなどの特定のヌクレオチドの変化を特徴とする。これらの変化はヌクレオチドの酸化に関係している可能性があり、こうした酸化はアルツハイマー病に冒されたニューロンでin situで増加していることが分かった。発現している遺伝子ではシグネチャー特異的な損傷が見られ、変異は転写鎖バイアスを示すため、転写共役ヌクレオチド除去修復が、変異の生成に役割を担っていることが示唆される。アルツハイマー病でのこれらの変化は、コーディングエキソンに影響を与え、機能不全の遺伝的ノックアウト細胞やタンパク質恒常性ストレスを引き起こすと予測される。我々の結果は、アルツハイマー病では、既知の病原性機構によってニューロンにゲノム損傷が起こり、それによってニューロンの機能が徐々に損なわれていく可能性を示唆している。このような神経変性におけるDNA変化の異常な蓄積から、アルツハイマー病の発症で起こる分子レベルと細胞レベルの事象のカスケードについての手掛かりが得られる。

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