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神経科学:抑制性コミュニケーションの修飾によって協調する注視と到達運動

Nature 604, 7907 doi: 10.1038/s41586-022-04631-2

注視と到達運動は脳の異なる領域で制御されているが、自然な行動の際には協調している。注視と到達運動の協調のような、柔軟で自然な行動がどのように制御されているかを理解するには、異なる脳領域のニューロン同士がどのようにコミュニケーションを行っているかを理解する必要がある。これまで、ガンマ帯域(40〜90 Hz)の神経コヒーレンスが、複数の領域間の興奮性のコミュニケーションに関わると考えられてきた。行動の柔軟な調節には抑制性の制御機構も必要だが、行動を支えるために、ある領域のニューロンが他領域の個々のニューロンを一時的に抑制する仕組みはほとんど知られていない。送信側領域のニューロン発火が受信側領域の発火をどのように抑えるかは、まだよく理解されていない。今回我々は、ある柔軟で自然な行動[視線固定(gaze anchoring)と呼ばれる、協調的到達運動により急速眼球運動が一時的に抑制される現象]の際の抑制性コミュニケーションについて調べた。視線固定の際、後部頭頂皮質の到達運動領域のニューロンは、頭頂皮質急速眼球運動領域のニューロン発火を抑制して眼球運動を抑え、到達の正確さを助けることが分かった。抑制は、協調した到達運動の前後だけに起こる一時的なもので、ガンマ帯域活動ではなくベータ帯域(15〜25 Hz)活動で到達ニューロンがスパイクを発火させる時に最大となる。本研究により、ベータ帯域の神経コヒーレンスが複数領域間の抑制性コミュニケーションを一時的に抑制することにより自然行動を柔軟に協調させるという、コミュニケーションの新規機構が、個別ニューロンの活動において証拠付けられた。

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