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遺伝学:体細胞モザイク現象から明らかになったヒト新皮質の発生におけるクローン分布
Nature 604, 7907 doi: 10.1038/s41586-022-04602-7
ヒト大脳新皮質の構造は、種特異的な形質の根底にあり、複雑な発生プログラムを反映している。今回我々は、成人脳組織の試料採取によって、発生初期に起こる諸過程の再構築を試みた。脳の体細胞モザイク現象は中立的な細胞系譜の記録として働くことから、我々は、その網羅的分析によってヒトの死後脳新皮質のクローンを分析した。神経学的に正常な成人1人の死後脳について25か所の異なる解剖学的部位から試料を採取し、これを高深度の全ゲノム塩基配列解読と組み合わせて、得られた結果をさらに3人のドナーから5か所ずつ得た試料で確認した。我々は、1人目のドナーにおいて、259の真正なモザイクバリアントを特定し、脳と他の器官にわたって異なる領域、細胞タイプ、クレードの組成のデコンボリューションを行った。その結果、大脳皮質の前駆細胞プールが90〜200個に達した後で生じたクローンには、体の前後軸や背腹軸よりずっと前に正中線軸を重視する傾向があることが分かった。これは、前脳領域と後脳領域という総体的なパターン形成に次ぐ二次的な階層を表している。新皮質由来細胞の全体に見られるクローンは、背側と腹側の細胞集団の両方に由来するという二重起源の考えと一致し、これは齧歯類での結果と同じだが、ミクログリアの細胞系譜については、脳に常在する他の細胞とは異なるように見える。我々のデータは、新皮質全体における脳の体細胞モザイク現象の網羅的解析の結果を提示しており、ヒト脳における細胞の起源と前駆細胞の分布パターンを示すものである。

