高分子化学:機械学習に支援されたPET解重合用加水分解酵素の改変
Nature 604, 7907 doi: 10.1038/s41586-022-04599-z
プラスチック廃棄物は生態学的難題を課しているが、酵素分解によって、ポリエステル廃棄物をリサイクルする潜在的に環境に優しくスケーラブルな方法が得られる。ポリエチレンテレフタレート(PET)は世界の固形廃棄物の12%を占めており、PET向けの循環炭素経済は、高速な酵素の解重合とその後の再重合や他の生成物への変換/価値化を通して理論的には達成できる。しかし、PET加水分解酵素の応用は、pH範囲や温度範囲に対するロバスト性が乏しく、反応速度が遅く、未処理の使用済みプラスチックを直接使用できないため阻まれてきた。今回我々は、構造に基づく機械学習アルゴリズムを用いて、改変によってロバストな活性PET加水分解酵素を得た。用いられた変異体と骨格の組み合わせ[FAST-PETase;機能性(functional)、活性(active)、安定性(stable)、耐性(tolerant)のあるPETase]は、野生型PETaseと比較して5つの変異(予測からN233K/R224Q/S121E、骨格からD186H/R280A)を含んでおり、30~50°CとさまざまなpH値範囲で、野生型PETaseと代替改変PETaseのいずれより優れたPET加水分解活性を示した。我々は、51種類の異なる熱成形製品に由来する未処理の使用済みPETの全てを、FAST-PETaseによって1週間でほぼ完全に分解できることを実証する。またFAST-PETaseは、市販の水用ボトルの未処理の非晶質(アモルファス)部分や、事前に熱処理された水用ボトル全体を50°Cで解重合することもできる。さらに我々は、FAST-PETaseを用いて、回収したモノマーからPETを再合成することによって、閉ループPETリサイクル過程を実証する。まとめると今回の結果は、工業規模で酵素を用いてプラスチックをリサイクルする実行可能な手段を実証するものである。

