構造生物学:接着型GPCRであるADGRG2とADGRG4のテザーペプチドによる活性化機構
Nature 604, 7907 doi: 10.1038/s41586-022-04590-8
接着型Gタンパク質共役受容体(aGPCR)は進化的に古い受容体ファミリーを構成しており、その多くは自己分解を起こしてαサブユニットとβサブユニットを生じる。βサブユニットの「Stachel配列」を介した繋留(テザー)による作動が、aGPCRの活性化に中心的な役割を果たすとされている。今回我々は、Gsヘテロ三量体に共役したaGPCRの3つのクライオ電子顕微鏡構造を示す。そのうちの2つは、テザーアゴニストであるStachel配列によって活性化されたaGPCRの構造(ADGRG2-β–Gs複合体とADGRG4-β–Gs複合体;βはそのaGPCRのβサブユニットを示す)であり、残る1つは、ADGRG2のStachel配列由来の外来ペプチドアゴニストIP15と複合体形成した完全長ADGRG2の構造(ADGRG2(FL)–IP15–Gs)である。ADGRG2-βとADGRG4-βのStachel配列はどちらもU字形と考えられ、7回膜貫通バンドルの奥深くまで入り込んでいる。ADGRG2-βやADGRG4-βの5個の残基がFXφφφXφモチーフ(φは疎水性残基を表す)を構成し、指のように伸びて7回膜貫通ドメインとの結合や受容体の活性化に関与する。ADGRG2(FL)–IP15–Gs複合体の構造からは、VPM–p15と比べてIP15の結合親和性が改善された構造的基盤が明らかになり、aGPCR-βの構造をうまく使うことによってペプチドアゴニストを合理的に設計できる可能性が示された。我々は「指を構成する残基」を酸性残基に変えることによって、複数のaGPCRのペプチドアンタゴニストを作製する方法を開発した。これらの知見を総合することにより、aGPCRのテザーペプチドによる活性化機構について、構造面、生化学面からの知見が得られた。

