構造生物学:接着型GPCRのテザーペプチドによる活性化機構
Nature 604, 7907 doi: 10.1038/s41586-022-04575-7
接着型Gタンパク質共役受容体(aGPCR)は、自己分解性を持つ細胞外領域の存在を特徴とし、この領域は細胞と細胞、または細胞と細胞外マトリックスとの相互作用に関わっている。aGPCRのGAIN(aGPCR auto-proteolysis-inducing)ドメイン内での自己分解からは、2つのプロトマー(N末端フラグメントとC末端フラグメント)が生じ、これらは受容体が細胞表面に到達した後も、非共有結合によって接着したままである。GAINのC末端フラグメントは、N末端フラグメントが解離すると繋留(テザー)アゴニスト(TA)ペプチドとして働いて7回膜貫通ドメインを活性化するが、その機構はまだほとんど知られていない。今回我々は、aGPCRファミリーに属する2つの異なる受容体GPR56(別名ADGRG1)とラトロフィリン3(LPHN3、別名ADGRL3)の構造の、クライオ電子顕微鏡によるスナップショットを示す。N末端フラグメントが結合している状態の受容体の低分解能マップにより、GAINドメインが細胞外空間へと突き出して可動性のある状態となり、隠されたTAペプチドを7回膜貫通ドメインから引き離していることが示された。Gタンパク質と共役した状態にあって活性を持つGPR56とLPHN3の高分解能構造からは、細胞外領域の解離後に露出したTAペプチドが7回膜貫通ドメインのコアに結合することが明らかになった。この結合は、よく保存された複数の相互作用によるもので、結合には細胞外ループ2も関わっている。TAの結合が膜貫通ヘリックス6と7の中央にある断端を安定化し、それがaGPCRのヘテロ三量体Gタンパク質との共役と活性化を促進する。これらの知見を総合することにより、aGPCR活性化の一般的なモデル構築が可能になった。

