分子生物学:rixosomeによるRNA分解はポリコーム標的遺伝子のサイレンシングに関与する
Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04598-0
ポリコーム抑制複合体1と2(PRC1とPRC2)は、ヒストンに結合して修飾を行う複合体であり、条件的ヘテロクロマチンの形成を仲介し、発生遺伝子のサイレンシングや細胞運命の維持に必要とされる。分裂酵母ではRNA分解の複数の経路が連携して働いて、ヘテロクロマチンを確立・維持しており、これにはrixosomeあるいはRIX1複合体と呼ばれる保存されたRNA分解複合体の最近明らかになった役割も含まれる。哺乳類のヘテロクロマチン安定性にも、RNA分解が役割を果たしているかどうかは不明である。今回我々は、ヒト細胞において、rixosomeが多数のポリコーム標的のサイレンシングに関与することを示す。rixosomeはヒトPRC複合体と結合し、ポリコーム標的遺伝子のプロモーターに多く存在する。rixosomeあるいはポリコームを枯渇させると、ポリコーム標的遺伝子に、停止した伸長中のRNAポリメラーゼの蓄積が起こる。PRC1とrixosomeの相互作用を妨げてサイレンシングを弱める点変異がPRC1サブユニットのRING1Bに見つかり、これはrixosomeのクロマチンへの直接的誘導がサイレンシングに必要であることを示唆している。さらに、rixosomeのRNAエンドヌクレアーゼ活性とキナーゼ活性、およびその下流のXRN2エキソリボヌクレアーゼ(rixosomeによって生成された5′一リン酸基を持つRNAを分解する)が、サイレンシングに必要であることを示す。我々の知見は、rixosomeによる新生RNAの分解が分裂酵母からヒトまで広く保存されており、ヒト細胞では条件的ヘテロクロマチンにおけるRNA分解に主要な役割を担うことを示唆している。

