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腫瘍生物学:全ゲノム重複後の1回のS期で生じる遺伝的不安定性

Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04578-4

安定的な二倍体の核型は、動物における健康や適応度に関連している。一方で、全ゲノム重複(染色体の全構成要素が倍加する)は遺伝的不安定性と関連しており、ヒトがんで頻繁に見られる。全ゲノム重複は、異常な有糸分裂を介して染色体の不安定性を促進することが実証されている。しかし、四倍性が及ぼす最初の間期への直接的な結果は分かっていない。細胞質分裂の失敗などの単一の全ゲノム重複事象が腫瘍発生を促進することがあるため、これは重要な疑問である。今回我々は、ヒト細胞で、四倍性が誘導された後の最初のS期のDNA複製中に、高率でDNA損傷が起こることを見いだした。DNAコーミング法と単一細胞塩基配列解読を用いたところ、DNA複製動態が撹乱されていて、これにより複製不足や複製過剰の領域が生じることが分かった。機構的には、こうした異常はG1/S移行中のタンパク質不足によって生じ、これがDNA複製の忠実度を損なわせることが分かった。この研究は、1回の間期に、不定期に生じた四倍体細胞が高度に異常な核型を獲得する可能性を示している。これらの知見は、四倍体化の後の腫瘍形成に有利な遺伝的不安定性の全体像を説明するものである。

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