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発生生物学:ヒトの遠位肺マップおよび細胞系譜解析が明らかにした二能性前駆細胞の存在

Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04541-3

通常状態や疾患における組織動態の理解には、構成細胞の空間分布や分子的アイデンティティーのマッピングが不可欠である。しかしながら、呼吸器疾患への関与があるとされる終末・呼吸細気管支(TRBs)を含むヒトの末梢気道については、網羅的マップがこれまで存在しなかった。本研究において我々は、空間トランスクリプトミクスと、マイクロダイセクション法で採取した末梢気道のシングルセル(単一細胞)プロファイリングを用い、我々の知る限りこれまで特徴が明らかになっていなかった、分子的に異なるタイプの複数のTRB細胞を同定した。これには、気道関連LGR5+繊維芽細胞、TRB特異的肺胞0型(AT0)細胞およびTRB分泌細胞(TRB-SC)が含まれる。コネクトームマップおよびオルガノイド共培養システムを用いた解析からは、気道ニッチにおいてLGR5+繊維芽細胞がシグナル伝達のハブを形成していることが示された。AT0細胞とTRB-SCは複数種の霊長類において共通であり、さらにヒトの肺発生過程においてこれらの細胞が出現することが明らかになった。非ヒト霊長類を用いた肺傷害モデル、ヒトオルガノイドおよびヒト組織の解析により、再生過程の肺では肺胞II型細胞が一過性にAT0細胞状態を獲得し、そこから肺胞I型細胞あるいはTRB-SCに分化可能であることが明らかとなった。この分化プログラムは、マウス肺で同定されたものとは異なる。我々の研究はまた、二分化能を持つAT0細胞状態の、正常あるいは病的状態への分化を制御するメカニズムを明らかにした。まとめると、我々の発見によりヒト肺細胞マップと細胞系譜の軌跡が見直され、新たに霊長類の肺再生・疾患における一過性の上皮細胞状態の存在がほのめかされた。

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