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分子生物学:RNA構造とX染色体不活性化を妨げる化合物によるXistの標的化
Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04537-z
ヒトゲノムの98%以上は非コードだが、上市されている薬剤のほぼ全てが、約700ある疾患関連タンパク質の中の1つを標的としている。ノンコードRNAへの投資はこれまで避けられてきた経緯があり、その一因は、創薬標的が単一の安定的コンホメーションをとらねばならないことにある。ほとんどのRNAは、同等の安定性を持つ複数のコンホメーションをとることができる。また、RNA構造の決定も難しい。とはいえ、現在、ノンコードRNAと関連付けられる疾患の数はますます増えており、それらを標的にできれば、創薬のための化学空間が大幅に拡張されるだろう。今回我々は、スクリーニング戦略を考案して、典型的なノンコードRNAであるXistに結合する小分子を特定した。このX1化合物は、薬剤に類似した性質を持ち、in vitroとin vivoでXistのRepAモチーフに特異的に結合する。小角X線散乱解析から、RepAは複数のコンホメーションをとり得るが、溶液中では1つの構造に選好性があることが明らかになった。X1の結合は、RepAのコンホメーション空間を縮小して、コグネイトの相互作用タンパク質因子(PRC2とSPEN)を除去し、ヒストンH3K27トリメチル化を抑制して、X染色体不活性化の開始を阻害する。X1は雌性特異的な様式で、細胞の分化と増殖を抑制する。従って、RNA構造やエピジェネティック機能を妨げる薬剤類似化合物により、RNAを体系的に標的とすることができる。

