Article

構造生物学:GABAA受容体の構造とシグナル伝達は異なる会合状態によって多様化する

Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04517-3

A型γ-アミノ酪酸受容体(GABAAR)は、五量体のリガンド依存性塩素チャネルで、神経回路における速い抑制性シグナル伝達に関わっており、全身麻酔薬やベンゾジアゼピンなどの必須医薬により調節が可能である。ヒトGABAARサブユニットは19個のパラロガス遺伝子によりコードされ、これらから(理論的には)49万5235種類の受容体を生じさせることができる。しかし、五量体の形成を支配する原理や、サブユニットのセットから形成される可能性のある受容体の組み合わせの全体像、これがGABA作動性シグナル伝達に及ぼす影響は、ほとんど分かっていない。今回我々は、クライオ電子顕微鏡法を用いて、α4、β3およびδサブユニットから構築されたシナプス外GABAARの構造と、他は同じだがδサブユニットの代わりにγ2を含む点が異なる構造を決定した。それぞれについて、化学量論的性質と配置が異なる2つの受容体サブタイプが明らかになり、これらの4つ全てが、以前に観察されたα1を含むシナプス性受容体とは異なっていた。これはさらに、サブユニット界面でリガンド結合部位を形成したり、消失させたりすることによって、生理的モジュレーターや合成モジュレーターへの受容体の応答に影響する。我々は、GABAARの組み合わせをうまく選択すれば、これが、2つの神経伝達物質GABAとヒスタミンに同時に反応する同時検出器として機能できることの構造学的及び機能的な証拠を示す。さらに我々は、組み合わせのシミュレーションと単一細胞RNA塩基配列データを用いて、遺伝子組み換え系とin vivoでの受容体の多様性の上限を計算した。状況に応じて異なる組み合わせを使うことは、GABAARの生理的性質と薬理学的性質を調節するための広く使われている機構であると、我々は考える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度