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物性物理学:カゴメ超伝導体における電荷密度波に駆動される電子ネマチック性
Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04493-8
電子の自由度によって回転対称性が自発的に破れる電子ネマチック性は、高温超伝導体や量子ホール系などの相関量子流体において普遍的な現象であることが実証されている。特に、高温超伝導体における電子ネマチック性は超伝導との興味深い関連を示し、複雑な超伝導対形成や絡み合った電子秩序を生み出している。最近、二次元バナジウム(V)カゴメネットを有するAV3Sb5(A = K、Rb、Cs)ファミリーにおいて、超伝導と電荷密度波(CDW)秩序の間の異常な競合が見いだされた。これらの現象に電子ネマチック性が関与しているかどうかはまだ分かっていない。今回我々は、弾性抵抗測定法、核磁気共鳴法(NMR)、走査型トンネル顕微鏡/分光法(STM/S)を組み合わせて用いて、CsV3Sb5に電子ネマチック性が存在することを示す証拠について報告する。温度依存性の弾性抵抗係数(m11 − m12)とNMRスペクトルから、面外変調に起因する2a0 × 2a0スーパーセルのC2構造ひずみの他に、CDW転移(約94 K)のすぐ下に大きなネマチックゆらぎが現れ、最終的に約35 K以下でネマチック転移が起こることが実証された。STM実験によって、ネマチック転移温度以下でC2構造にピン止めされた長距離ネマチック秩序が直接可視化され、三状態ポッツモデルで記述される新しいネマチック性が示唆された。今回の知見は、常伝導状態のCsV3Sb5における固有の電子ネマチック性の存在を示しており、これは、非従来型超伝導体における対形成機構に対する電子ネマチック性の役割を明らかにする新しいパラダイムを打ち立てるものである。

