Article
ナノスケール材料:先端トランジスター向けの極薄強誘電性HfO2–ZrO2超格子ゲートスタック
Nature 604, 7904 doi: 10.1038/s41586-022-04425-6
先端トランジスターにおける横方向の寸法の縮小に伴い、ゲート電極によるチャネル制御性を維持しながら動作電圧を下げるには、ゲートキャパシタンスを増やすことが望ましい。これが2008年に、誘電定数の高いHfO2を組み込むというゲートスタックの根本的な変更につながり、以降この材料は最適なものとされてきた。今回我々は、強誘電性–反強誘電性の混合秩序によって安定化したHfO2–ZrO2超格子ヘテロ構造をゲートスタックとしてSiトランジスターに直接組み込み、その厚さを高性能トランジスターに要求されるゲート酸化膜厚と同じ約20 Åに縮小させたことを報告する。金属–酸化膜–半導体キャパシターの全体的な換算酸化膜厚は、約6.5 ÅというSiO2の有効厚と同等である。こうした薄い有効酸化膜厚とその結果得られる大きなキャパシタンスは、従来のHfO2系高誘電定数ゲートスタックでは界面のSiO2除去なしに実現することはできないが、そうした処理は電子輸送やゲートリーク電流に悪影響を及ぼす。従って、そのような除去処理を必要としない我々のゲートスタックでは、リーク電流が大幅に減少し、移動度の低下は起こらない。今回の成果は、極薄強誘電体HfO2–ZrO2多層膜が、2 nm厚の領域における、競合する強誘電–反強誘電秩序によって安定化した極薄の強誘電性HfO2–ZrO2多層膜が、従来のHfO2系高誘電率材料を超える、電子デバイスの先端ゲート酸化膜スタックへの道を開くことを実証している。

