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天文学:天の川銀河初期の形成史の時間分解された描像

Nature 603, 7902 doi: 10.1038/s41586-022-04496-5

天の川銀河の形成は、ハロー成分と円盤成分という構造的に異なる恒星集団を生み出した、異なる段階に定性的に分けることができる。銀河系形成の定量的な全体像を明らかにするには、非常に正確な年齢が分かっている星からなる大規模なサンプルが必要である。本論文で我々は、準巨星を用いた、そうしたサンプルの解析について報告する。我々は、恒星の年齢–金属量分布p(τ, [Fe/H])が、τ ≃ 8 Gyrという年齢を境に、ほとんど重ならない2つの部分に分かれることを見いだした。若い方の部分は恒星軌道の半径方向の移動を示す明らかな証拠を伴う、力学的に静穏な銀河円盤形成の後期の段階を反映し、もう一方の部分は恒星ハローと古いα元素の濃度の高い(厚い)円盤が形成された、より初期の段階を反映している。今回の結果は、銀河系の古い(厚い)円盤の形成が、ビッグバンからわずか8億年後の約130億年前に始まったことを示しており、これは内側の銀河系ハローの最終的な形成よりも20億年早い。これらの星の大半は、ガイア・ソーセージ・エンセラダス衛星銀河が銀河系と合体した、約110億年前に形成された。続く50〜60億年にわたり、銀河系は化学元素の絶え間ない濃縮を経験し、最終的には10倍濃縮されたが、星形成ガスは十分に混合された状態をどうにか維持していた。

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