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地球科学:イエローストーンの熱水流路の地球物理学的撮像
Nature 603, 7902 doi: 10.1038/s41586-021-04379-1
イエローストーン国立公園において、深部の熱流体とよく知られたその熱的特徴とを結び付けている流路系の性質はほとんど分かっていない。イエローストーンの水文と化学的性質に関する一般的概念は、流体が未知の形状のリザーバーに存在し、末端の源から横方向に流れて溶岩流の端で現れるというものである。今回我々は、航空地球物理学データの電気抵抗率モデルと磁化率モデルから得られた、イエローストーンの熱水系の流路の分解能の高い概観図を提示する。総溶解固形物を多く含む地下水と熱流体は、多孔性の火山岩の抵抗率を大きく低下させ、その抵抗率の特徴から識別できる。熱水地帯と掘削孔に位置する粘土層は一般に、断層が制御する熱流体やガスの流路の上の深さ1000 m以浅に形成される。我々は、熱的特徴の大半が、抵抗率と磁化率が低い粘土でふたをされた潜在断層に沿った流量の多い流路の上に位置していることを示す。浅部のほぼ水平な流路によって、地下水が盆地へ流れ、鉛直の流路から流れる熱流体と混合する。こうした混合流体は、表層の透水率によって制御されて地表に現れ、より深部の角礫層に沿って外向きに流れる。このような外向きの流れは、間欠泉地帯の間を連続して流れ、局所的な地下水や熱流体と混合して、観測される地球化学的特徴を作り出す。今回の忠実度の高い一連の画像から、世界中の熱水系の地球化学的モデルや地下水モデルに対する情報が得られる。

