Article
生物地球化学:中生代は北半球の春に終焉した
Nature 603, 7899 doi: 10.1038/s41586-022-04446-1
約6600万年前に起きた白亜紀–古第三紀の大量絶滅は、現在のユカタン半島でのチクシュルーブ小惑星衝突がきっかけであった。この事象は極めて選択的な絶滅を引き起こし、それによって、全ての非鳥類型恐竜類、翼竜類、アンモナイト類、厚歯二枚貝(ルディスト)類、大多数の海生爬虫類を含む生物種の約76%が姿を消した。この衝突のタイミングおよびその影響に関する研究は主に1000年単位の時間スケールで行われており、衝突が起きた季節は絞り込まれていない。今回我々は、中生代が終焉した日に死んだ魚類を調べることで、白亜紀–古第三紀の大量絶滅を引き起こした衝突が北半球の春に起こったことを明らかにする。タニスの、この衝突で誘発された静振(セイシュ)の堆積物から出土したチョウザメ類魚類の保存状態が極めて良好な軟骨膜骨と皮骨の骨組織構造および安定同位体記録から、白亜紀末の数年間の1年周期性が明らかになった。生殖、摂餌、冬眠、夏眠の季節的タイミングや持続期間などの1年を周期とする生活環は、白亜紀最後の生物クレードの間で大きく異なっていた。我々は、チクシュルーブ衝突のタイミングが北半球の春および南半球の秋であったことが、白亜紀–古第三紀境界を越える生物の選択的生存に大きな影響を与えたと考える。

