Article
がん:乳がん、大腸がん、膵臓がん細胞に有効な薬剤併用法
Nature 603, 7899 doi: 10.1038/s41586-022-04437-2
抗がん剤を複数併用すると耐性を克服できることがあり、新たな治療法になる可能性がある。しかし、可能な薬剤組み合わせの数は、臨床で検証できそうな数を大幅に超えている。効力のある組み合わせとそれが最も効果的に働く組織や分子環境を系統立てて明らかにする努力によって、併用療法の開発が促進できるだろう。今回我々は、臨床的に意味のある2025通りの2剤併用の効力(potency)と最大効果(efficacy)を評価し、分子的性質が明らかな乳がん、大腸がん、膵臓がんの125の細胞株を網羅するデータセットを作成した。薬剤同士の相乗作用はまれで、使用状況に高度に依存することが分かり、また相乗的に働く確率が最も高いのは標的薬同士の組み合わせであることが示された。さらに、マルチオミクス解析による分子特性を取り入れて、薬剤併用のバイオマーカーを突き止め、薬剤が相乗的に働く組み合わせと相乗作用が生きてくる環境(basal-like型乳がん、マイクロサテライト安定型あるいはKRAS変異型大腸がんなど)を特定した。これらの結果から、イリノテカンとCHEK1阻害がマイクロサテライト安定型あるいはKRAS–TP53二重変異型大腸がん細胞で相乗効果を示し、これがアポトーシスおよび腫瘍異種移植片の増殖抑制につながることが明らかになった。この研究によって、分子的に異なるサブ集団に臨床的効果を示す薬剤併用法が見つかった。この成果は、薬剤併用療法の開発を合理的に進めるのに役立つ情報資源となる。

