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ウイルス学:ラッサウイルススパイク複合体による構造と受容体の認識
Nature 603, 7899 doi: 10.1038/s41586-022-04429-2
ラッサウイルス(LASV)はヒト病原体で、罹患率と死亡率は共にかなり高い。アレナウイルス科(Arenaviridae)の例に漏れず、LASVもその表面にクラスIのスパイク複合体を持ち、これが細胞への侵入を促進する。細胞側のウイルス受容体は、α-ジストログリカン上に存在する直鎖状の糖鎖マトリグリカンだが、LASVがどのような分子機構を使ってこのグリカンを認識するかは知られていない。また、LASVをはじめとするアレナウイルス類は独特なシグナルペプチドを持ち、これは成熟スパイクの中に組み込まれて機能的に重要な構成要素となる。しかし、このシグナルペプチドの膜内での構造、機能、トポロジーは解明されていない。今回我々は、天然状態の完全なLASVスパイク複合体の構造を解き、シグナルペプチドが膜を1回貫通していて、そのアミノ末端が細胞外領域中に位置することを明らかにした。分子の両端で起こるドメインスイッチングという仕組みと共に、シグナルペプチドは天然型のコンホメーションをとっているスパイク複合体の安定化を助けている。この構造から、LASVのスパイク複合体がマトリグリカンにあらかじめ結合することが明らかになり、これによって結合の機構が示唆され、α-ジストログリカン指向性を持つアレナウイルス類による受容体認識が説明される。この発見により、ウイルスの細胞からの放出機構についてもさらなる情報が得られ、この結合部位を利用した新しい治療薬の合理的設計が可能になるかもしれない。

