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神経科学:単一ニューロンによる乗算の生物物理学的説明

Nature 603, 7899 doi: 10.1038/s41586-022-04428-3

個々の神経細胞が行う非線形的で乗算様の演算方式は、神経系の計算能力を大きく増大させているが、その生物物理学的な実行についての理解は乏しい。今回我々は、この問題を追求するために、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のON運動視回路において、運動方向選択的T4ニューロンとそれらのコラム状入力要素が視覚刺激・薬理刺激に応答する際の膜電位をin vivoで記録した。電気生理学的測定とコンダクタンスに基づく刺激によって、T4細胞樹状突起上にある2種の別タイプのシナプス間の受動的かつ超線形的な相互作用の証拠が得られた。この乗算様の非線形性は、コリン作動性の興奮と、グルタミン酸作動性の抑制からの解除の同時生起で生じることが分かった。後者は、T4ニューロンにおけるグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルGluClαの発現によっており、これが、細胞の方向同調性を強めて動物の視運動行動を形作る。このように分岐した抑制性シナプスと興奮性シナプスの相互作用ペアは、以前から乗算のアナログ近似として想定され、運動方向検出、音源定位、感覚運動制御の理論に織り込まれていたものでもある。

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