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免疫学:cGAS–STING経路はCOVID-19においてI型IFNの免疫病態を駆動する

Nature 603, 7899 doi: 10.1038/s41586-022-04421-w

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染によって引き起こされ、肺の病態や肺外合併症を特徴とする。I型インターフェロン(IFN)はCOVID-19の発症に重要な役割を担っている。I型IFNが迅速に誘導されることでウイルス増殖は抑制されるが、感染後期のI型IFNレベルの持続的な増加は、異常な炎症や臨床転帰不良と関連付けられている。今回我々は、細胞質ゾルのDNAに対する免疫を制御するサイクリックGMP-AMPシンターゼ(cGAS)–STING(stimulator of interferon genes)経路が、COVID-19における異常なI型IFN応答の重要な駆動要因であることを示す。COVID-19の皮膚症状のプロファイリングから、内皮細胞傷害領域に接するマクロファージによって主に仲介されるSTING依存的なI型IFNシグネチャーが明らかになった。さらに、cGAS–STING活性は、COVID-19患者の顕著な組織破壊を伴う肺検体で検出され、I型IFN応答と関連していた。肺チップモデルによって、SARS-CoV-2感染は、マクロファージに加え、内皮細胞でミトコンドリアDNAの遊離を介してcGAS–STINGのシグナル伝達を活性化し、細胞死やI型IFN産生を誘導することが明らかになった。マウスでは、STINGの薬理学的阻害がSARS-CoV-2によって誘導される重度の肺炎症を抑制し、疾患転帰を改善した。まとめると我々の研究は、COVID-19における病的なI型IFN応答の機構基盤を明らかにし、宿主指向性の治療法を開発するための原理を示している。

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