古代DNA:中期~後期青銅器時代におけるブリテン島への大規模移動
Nature 601, 7894 doi: 10.1038/s41586-021-04287-4
現在のイングランドおよびウェールズの人々は、前期青銅器時代の人々よりも、初期のヨーロッパ農耕民(EEF)に由来する系統を多く持つ。こうした状況を理解するため、今回我々は、793人についてゲノム規模のデータを構築し、ブリテン島における中期~後期青銅器時代および鉄器時代のデータを12倍、ヨーロッパの西部および中部のデータを3.5倍に拡充した。その結果、紀元前1000~875年において、EEF系統の割合は、ブリテン島南部(イングランドおよびウェールズ)では増加したが、ブリテン島北部(スコットランド)では増加しておらず、これは、この時代およびそれ以前の数世紀に到来した移民の統合によるもので、こうした移民は遺伝的にはフランスの古代人に最も近かったことが分かった。これらの移民は、鉄器時代のイングランドおよびウェールズの人々の系統の約半分に寄与しており、これが、初期のケルト語派のブリテン島内での拡散を媒介した可能性がある。こうしたパターンは、EEF系統が中期~後期青銅器時代にヨーロッパの中部および西部全域でより類似するようになったという、さらに広範な傾向の一部であり、この時期は文化的交流の増大を示す考古学的証拠の年代と一致する。鉄器時代の大陸ヨーロッパからの遺伝子流動は比較的少なく、ブリテン島内での独立した遺伝的軌跡は、ラクターゼ持続性を付与する対立遺伝子の頻度がこの時代までに約50%に増加したことにも表れている。一方、この時代のヨーロッパ中部での同対立遺伝子の頻度は約7%で、それが急上昇したのは1000年後のことであった。これは、この時代のブリテン島とヨーロッパ中部では乳製品が質的に異なる様式で用いられていたことを示唆している。

