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微生物学:多剤耐性病原菌を標的とするための天然から着想を得た抗生物質

Nature 601, 7894 doi: 10.1038/s41586-021-04264-x

グラム陰性細菌が原因で、抗生物質耐性感染による死亡数が増加している。細菌由来の天然物であるコリスチンは、多数のグラム陰性病原菌に対する最後のとりでだと考えられている。最近、プラスミドを介して移動するコリスチン耐性遺伝子mcr-1(ホスホエタノールアミントランスフェラーゼ)が世界的に広まったことで、コリスチンの有用性が脅威にさらされている。細菌由来の抗生物質は、自然界では、進化的に近縁な生合成遺伝子のクラスターによってコードされている類似構造の集合として見られることが多い。この構造的多様性は、少なくとも部分的には、自然耐性(機構的に臨床的耐性を模倣することが多い)の発生に対する応答と考えられる。今回我々は、mcr-1を介した耐性に対する解決策が、自然に生じたコリスチン同族体の間で進化してきた可能性があると提案する。解読済の細菌ゲノムのバイオインフォマティクス解析から、構造的に分岐したコリスチン同族体をコードすると予測される1つの生合成遺伝子クラスターが特定された。この構造の化学合成によりmacolacinが作り出された。macolacinは、mcr-1を発現するグラム陰性病原菌や、染色体上にホスホエタノールアミントランスフェラーゼ遺伝子をコードしている本質的に耐性な病原菌に対して活性を示す。これらのグラム陰性細菌には、広範な薬剤耐性を示すアシネトバクター属細菌Acinetobacter baumanniiや本質的にコリスチン耐性の淋菌(Neisseria gonorrhoeae)が含まれ、こうした細菌は、有効な治療選択肢がないために脅威レベルの最も高い病原体と見なされている。マウスの好中球減少性感染モデルにおいて、macolacinのビフェニル類似体がコリスチン耐性や広範な薬剤耐性を示すA. baumanniiに有効であることが証明され、これによって、コリスチン耐性病原菌に打ち勝つための、天然から着想を得た容易に生産できる治療薬リード化合物がもたらされた。

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