Article
暗号:実験による相対論的ゼロ知識証明
Nature 599, 7883 doi: 10.1038/s41586-021-03998-y
現代の情報化時代において、秘密を守ることは重要な課題である。しかし、例えば銀行で現金を引き出すために本人確認をする際など、一般的な状況では、秘密を明かすことが不可避と思われる。そしてこれは次に、銀行のセキュリティーが侵害されるという、ありそうにないが非現実的でもない場合において、非常に好ましくない結果を招く可能性がある。するとここで必然的に、本人確認や、より一般的にはある言明が正しいことを証明するためには、秘密の公開が根本的に必要なのかどうかという疑問が生じる。計算機科学の発達によって、ゼロ知識証明、すなわち、証明者は証明の詳述を容易にすることなく特定の言明の妥当性を検証者に納得させることができる、という概念を通して洗練された解決策が得られている。今回我々は、2組の離れた検証者と証明者のペアが関与するそうしたゼロ知識証明プロトコルを実験的に実現したことを報告する。セキュリティーは、特殊相対性理論の物理的原理を通して強化されており、計算上の仮定(一方向性関数の存在など)は必要としない。今回の実装は、既製の機器のみを使用しており、短距離(60 m)でも長距離(400 m以上)でも約1秒で動作する。これは、複数の証明者によるゼロ知識プロトコルの実用的な可能性を示しており、認証タスクや、暗号通貨やスマートコントラクトなどのブロックチェーンの用途に有望である。

