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神経科学:内側中隔回路の5-HTによる修飾が社会的記憶の安定性を調整する
Nature 599, 7883 doi: 10.1038/s41586-021-03956-8
社会的記憶、つまり身近な同種個体を認識して記憶する能力は、動物個体がその社会集団の中で生存するのに不可欠である。海馬の亜領域である背側CA2(dCA2)と腹側CA1(vCA1)、そしてそれらの投射標的は、社会的記憶において重要な役割を担っている。しかし、これに関連する海馬外からの入力領域については、まだよく分かっていない。本論文では、内側中隔(MS)が、社会的記憶に重要なdCA2への入力領域であることを明らかにするとともに、セロトニン(5-HT)によるMSの修飾が社会的記憶の形成を双方向的に制御し、それによって記憶の安定性に影響を及ぼすことを示す。新規の社会的相互作用はdCA2 に投射するMSニューロンの活動を増大させ、MSニューロンからdCA2錐体ニューロンへのグルタミン酸作動性シナプスの可塑性を誘導した。dCA2に投射するMS細胞の活動は、神経修飾物質である5-HTの5-HT1B受容体への作用によって増強された。また、MSにおいて内側縫線核の5-HT神経終末を光遺伝的に操作したところ、社会的記憶の安定性が双方向的に調節された。本研究は、社会的相互作用が社会的記憶をもたらす際の神経機構に関する理解を深めるとともに、5-HTが、別個の標的構造に影響を及ぼすことで、社会性を促す行動だけでなく社会的記憶を増進する上でも重要な役割を持つという証拠を提供するものである。

