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コロナウイルス:SARS-CoV-2ワクチンBNT162b2に対する年齢に関連した免疫応答の不均一性

Nature 596, 7872 doi: 10.1038/s41586-021-03739-1

mRNAワクチンを2回接種することによって、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対して優れた防御効果が得られるが、80歳以上の高齢者における懸念される変異株(VOC)に対するワクチンの効果については、ほとんど情報がない。今回我々は、80歳以上の高齢被験者と80歳未満の医療従事者について、mRNAワクチンBNT162b2接種後の免疫応答を解析した。その結果、ワクチン初回接種後の血清の中和活性や結合性のIgGとIgAのレベルは高齢になるほど低くなり、80歳以上の被験者では著しい低下が見られた。80歳以上の被験者の血清では、初回接種後は、VOCのB.1.1.7(アルファ)株、B.1.351(ベータ)株、P.1.(ガンマ)株に対する中和活性が野生型ウイルスに対する活性に比べて低く、VOCに対する中和活性を全く示さないようだった。しかし2回目の接種後は、年齢にかかわらず、VOCに対する中和活性が検出されるようになった。初回接種後に免疫応答を示した(血清に中和活性が認められる)高齢被験者では、応答を示さなかった被験者に比べ、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質特異的な記憶B細胞が高い頻度で見られた。高齢被験者では、クラススイッチした細胞の体細胞高頻度変異が明らかに減っており、SARS-CoV-2スパイクタンパク質特異的T細胞によるインターフェロンγやインターロイキン2の産生も少なく、どちらのサイトカインも主にCD4+ T細胞によって分泌されていた。結論として、高齢者は高リスク集団であり、VOCが流行している場所では特に、この集団でワクチン応答を促進するために具体策が必要である。

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