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分子生物学:BRCA1–BARD1のヌクレオソーム認識とユビキチン化の機構

Nature 596, 7872 doi: 10.1038/s41586-021-03716-8

腫瘍抑制因子であるBRCA1–BARD1は、DNA二本鎖切断の相同組換えによる修復に必要とされるE3ユビキチンリガーゼである。BRCA1–BARD1複合体は、DNA複製後に損傷を受けたクロマチンに局在し、ヒストンH2Aをはじめとする細胞内標的のユビキチン化を触媒する。BRCA1–BARD1が二本鎖切断箇所へ誘導され、標的を認識する際の分子基盤はまだ解明されていない。今回我々は、クライオ電子顕微鏡を用いて、BARD1のアンキリン反復配列と縦列反復BRCTドメインが1個のコンパクトな折りたたみ構造をとって、ヌクレオソームのヒストン、DNA、H2Aのアミノ末端のK13またはK15に付加されたモノユビキチン(この2つは二本鎖切断に特異的なシグナルとして知られている)に結合することを明らかにした。さらに、BRCA1–BARD1のRINGドメインが、E2ユビキチン結合酵素を変化しやすい動的コンホメーションにしてヌクレオソーム上に配置し、H2AとH2AXバリアントの柔軟性のあるカルボキシ末端尾部へのユビキチン転移を促進する。これらの結果から、H2AのN末端でBRCA1–BARD1がモノユビキチンを認識するとポリユビキチン鎖の形成が阻害され、H2AのC末端のユビキチン化が協調的に促進されるという、調節のクロストークが明らかになった。これらの知見により、BRCA1–BARD1のクロマチンへの動員とユビキチン化の特異性の機構がはっきりし、両方の過程でBARD1が果たす重要な機能が明らかになり、複製後のクロマチンでBRCA1–BARD1がDNA修復タンパク質53BP1に対抗することにより相同組換えを促進する仕組みが説明される。これらのデータは、BARD1変異体を構造面から評価する枠組みとなり、がん発生を促進する変異を突き止めるのに役立つだろう。

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