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構造生物学:セキュリンとCDK1–サイクリンB1によるヒトセパラーゼ調節の構造基盤

Nature 596, 7870 doi: 10.1038/s41586-021-03764-0

有糸分裂初期には、複製された染色体は環状のコヒーシン複合体によってまとめられている。後期に染色体分離を引き起こすのはセパラーゼである。これは大型のシステインエンドペプチダーゼで、コヒーシンのサブユニットSCC1(別名RAD21)を切断する。セパラーゼは、その阻害物質であるセキュリンとサイクリンBの分解によって活性化されるが、セパラーゼを調節する分子機構はよく分かっていない。今回我々は、クライオ電子顕微鏡を用いて、セキュリンもしくはCdk1–サイクリンB1–CKS1と複合体を形成したヒトセパラーゼの構造を決定した。どちらの複合体でも、セパラーゼを阻害しているのは偽基質モチーフで、これが触媒部位やその近くの結合部位で基質の結合を妨げている。線虫の一種であるCaenorhabditis elegansや酵母の場合と同様に、ヒトのセキュリン自体も偽基質モチーフを複数もっている。これとは対照的に、Cdk1–サイクリンB1は、セパラーゼ自体に備わっていて秩序立った構造を本来的に持たないループからなる複数の偽基質モチーフを使ってセパラーゼを阻害する。自己阻害性ループの1つは、Cdk1–サイクリンB1によって、セパラーゼとCDK1両方の触媒部位を阻害するような向きに配置される。もう1つの自己阻害性ループは、セパラーゼの触媒部位に隣接する割れ目に基質が結合するのを妨げる。さらにセパラーゼの3番目のループにはホスホセリンが含まれていて、これがサイクリンB1中の保存されたリン酸結合ポケットに結合することにより、複合体の形成が促進される。今回の研究により、セキュリンとCDK1–サイクリンB1がセパラーゼに結合して阻害する多様な機構が明らかになり、これらが染色体分離の堅固な制御のための分子基盤となっていることが示された。

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