Article

腫瘍免疫学:抗PD-1治療を行った肺がん中のネオアンチゲン特異的TILに見られる転写プログラム

Nature 596, 7870 doi: 10.1038/s41586-021-03752-4

PD-1遮断は、変異関連ネオアンチゲン(MANA)特異的なものなどを含むCD8 T細胞の抑制を解除するが、腫瘍微小環境内の因子がこのようなT細胞応答を阻害することがある。単一細胞トランスクリプトミクスから、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の幅広いT細胞機能不全プログラムが明らかになっている。しかし、TILの大半は腫瘍抗原を認識せず、MANA特異的TILの転写プログラムについてはほとんど分かっていない。今回我々は、ネオアジュバント抗PD-1治療を行った非小細胞肺がん(NSCLC)でMANAFEST(MANA functional expansion of specific T cell)アッセイを用いて、MANA特異的T細胞クローンを明らかにする。さらに、それらのT細胞受容体を「バーコード」として使って、単一細胞RNA塩基配列解読とT細胞受容体塩基配列解読を組み合わせて用い、腫瘍微小環境でのそれらの転写プログラムの追跡と解析を行った。応答の有無にかかわらず、TILのMANA特異的クローンとウイルス特異的クローンはどちらも、MANA特異的、インフルエンザウイルス特異的、エプスタイン・バーウイルス特異的なTILがそれぞれ固有の転写プログラムを持っていた。コグネイト抗原に対する曝露にもかかわらず、MANA特異的TILは、不完全に活性化された細胞溶解性プログラムを発現する。MANA特異的CD8 T細胞は、組織常在型記憶(TRM)細胞の特徴的な転写プログラムを持つが、インターロイキン7受容体(IL-7R)のレベルは低く、インフルエンザ特異的TRM細胞と比べて、インターロイキン7(IL-7)に対する応答性が機能的に低下していた。応答性腫瘍からのMANA特異的クローンと比較すると、非応答性腫瘍由来のMANA特異的クローンは、リガンド依存的シグナル伝達が著しく低いT細胞受容体を発現し、主にHOBIThigh TRMサブセットに限定され、チェックポイントやキラーT細胞阻害受容体、T細胞活性化阻害因子を協調的に上方調節する。これらの知見は、PD-1遮断に対する抵抗性に打ち勝つための重要な手掛かりをもたらす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度