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物性物理学:無秩序金属をドープした絶縁体結晶における擬ギャップ

Nature 596, 7870 doi: 10.1038/s41586-021-03683-0

結晶固体中の電子の挙動を理解する手掛かりは、電子波のエネルギーと波数を関係付けるバンド構造である。短距離秩序しかない物質相(液体やアモルファス固体)であっても、電子波のコヒーレント部分にはバンド構造が依然として存在する。液体金属のバンド構造の理論モデルは50年以上前に定式化されたが、これまでのところ、共鳴散乱によって生じるバンド構造繰り込みと擬ギャップはまだ観測されていない。今回我々は、絶縁体結晶(黒リン)と無秩序ドーパント(アルカリ金属)の界面において異常なバンド構造を観測したことを報告する。我々は、自由電子の従来の放物線型バンド構造がゼロ波数に向かって屈曲し、フェルミ準位から30~240ミリ電子ボルトの擬ギャップが存在することを見いだした。これは、共鳴散乱によって起こる波数繰り込みであり、アルカリ金属イオンの散乱ポテンシャルにおける準束縛状態の形成につながる。さまざまな種類の無秩序なアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)によって調整されたこのポテンシャルの深さによって、p波共鳴とd波共鳴の擬ギャップの分類が可能になる。今回の結果は、銅酸化物において観測されるウォーターフォール分散(waterfall dispersion)などの、無秩序ドーパントをドープしたさまざまな絶縁体結晶の不可解なスペクトルを解明する手掛かりをもたらす可能性がある。

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