Review

発生生物学:加齢と加齢関連疾患におけるレトロ転位性エレメントの役割

Nature 596, 7870 doi: 10.1038/s41586-021-03542-y

ほぼ全ての生物のゲノムには、転位性遺伝因子(トランスポゾン)の活動によって生じた反復配列が含まれている。トランスポゾンは可動性の遺伝的エレメントであり、ゲノム中のある部位から別の部位へと移動でき、その過程でトランスポゾンは、ゲノム中で増幅し、自身の数を増やして、非常に高コピー数になることもある。本総説では、トランスポゾン全体の主要なサブグループであるレトロトランスポゾンの活動が、ヒトを含む複雑な後生動物の加齢や加齢関連疾患の過程に影響を及ぼし、さらには促進させもするという新たな証拠と考えについて考察する。レトロトランスポゾンは、生命の誕生以来、宿主ゲノムと共進化してきた。この関係性は主に競合的なものであり、トランスポゾンは「ジャンクDNA」や「分子寄生体」などと呼ばれてきた。レトロトランスポゾンの進化に関する我々の知識の多くは、生殖系列でのレトロトランスポゾンの活動を反映しており、ゲノム塩基配列データで明らかにされている。最近の研究からは、個体の生存期間中の体細胞組織におけるレトロトランスポゾンの活動や、この活動の基礎となる分子機構、そしてこれらの過程が我々の生理、健康、幸福とどのように関わり合うかについての豊富な情報が得られている。

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