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コロナウイルス:ヨーロッパでのCOVID-19の再増加における持ち込みと持続性を解明する
Nature 595, 7869 doi: 10.1038/s41586-021-03754-2
ヨーロッパでは、2020年春の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の第一波の後、2020年の晩夏にこのウイルスの再流行が始まったが、これはより致死的で、封じ込めがより困難であった。第二波の駆動要因となったのは、介入措置の緩和や夏の旅行と考えられている。今回我々は、系統地理学的モデルを構築して、残存系統が再拡大したのではなく、新しく持ち込まれた系統がヨーロッパでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再増加にどのように関わったのかを評価した。ヨーロッパ10か国からのゲノム、移動、疫学のデータを用いて、このモデルに情報を入力したところ、多くの国で晩夏に流行していた系統の半分以上が2020年6月15日以降に新しく持ち込まれたものであると推定された。新しく持ち込まれた系統群のその後の伝播の成功は、この期間中のCOVID-19の局地的な発生率と負に相関していた。2020年の夏に変異株が広範囲にわたって拡大したことは、規制が解除された際にウイルスの拡散が起こる脅威を浮き彫りにしている。そしてこのことは、より伝播性がより高い、および/あるいは免疫を回避する変異株の現在の拡大を制御する戦略において慎重に考慮する必要がある。我々の知見は、ワクチン接種によって疾病負荷が軽減してきても、国境を越えた人の移動を介する拡大を抑えるには、より効果的で協調的な対策が必要であることを示している。